前々回のテーマ「
約数」の最後の課題では,合成数を素数の積で表しました。素因数分解とは,この課題のことです。つまり,特定の自然数を,素数の積の形で表すことです。以下に例を示しますので,確認してください。
\(
7 = 7(素数はそのまま) \\
126 = 2 × 3^2 × 7
\)
素因数分解を利用すると,約数の数を求めたり,すべての約数を求めたりするときに,とても役立ちます。
以下の課題は,
素因数分解の筆算のやり方を会長,または,おちょんさんから聞いて
から取り組むこと。(おちょんさんは,誰か知ってますか?)
- 504を素因数分解しなさい。
- 1925を素因数分解しなさい。
- 16900を素因数分解しなさい。
※必要なら,素数シートを使ってもかまいません。
素因数分解を利用すると,とても簡単に,最大公約数と最小公倍数を求めることができます。例として,126と180の最大公約数と最小公倍数を求めてみましょう。まず,それぞれを素因数分解します。
\(
126 = 2 × 3^2 × 7 \\
180 = 2^2 × 3^2 × 5
\)
同じ
因数
(素因数分解して積の形になったそれぞれの数のこと)がわかりやすくなるように,次のような累乗の形で表すことにします。
\(
126 = 2^1 × 3^2 × 5^0 × 7^1 \\
180 = 2^2 × 3^2 × 5^1 × 7^0
\)
最大公約数を求めたい場合は,126と180の共通の因数それぞれにおいて,指数が
小さい
ほうを選びます。以下の例の赤い部分です。3の指数は,どちらも2なので,どちらを選んでもよいことになります。
\(
126 = 2^{\color{red}1} × 3^{\color{red}2} × 5^{\color{red}0} × 7^1 \\
180 = 2^2 × 3^2 × 5^1 × 7^{\color{red}0}
\)
選んだ指数を使って,それぞれの因数をかけていきます。計算結果である18が,126と180の最大公約数です。
\(
\begin{align*}
2^{\color{red}1} × 3^{\color{red}2} × 5^{\color{red}0} × 7^{\color{red}0} & = 2 × 3^2 \\
& = 18
\end{align*}
\)
最小公倍数を求めたい場合は,最大公約数の場合とは逆に,126と180の共通の因数それぞれにおいて,指数が
大きい
ほうを選びます。以下の例の赤い部分です。3の指数は,どちらも2なので,どちらを選んでもよいことになります。
\(
126 = 2^1 × 3^{\color{red}2} × 5^0 × 7^{\color{red}1} \\
180 = 2^{\color{red}2} × 3^2 × 5^{\color{red}1} × 7^0
\)
選んだ指数を使って,それぞれの因数をかけていきます。計算結果である1260が,126と180の最小公倍数です。
\(
\begin{align*}
2^{\color{red}2} × 3^{\color{red}2} × 5^{\color{red}1} × 7^{\color{red}1} & = 2^2 × 3^2 × 5 × 7\\
& = 1260
\end{align*}
\)
手順を理解できましたか? これまでは,感覚的に公約数を見つけていたかもしれませんが,今後は比較的大きな数の最大公約数や約数,最小公倍数なども簡単に求めることができますね。
最大公約数や最小公倍数を求めるための筆算もありますので,会長かおちょんさんに聞いてみよう。